見えざるストレス 見えざる疲労

 

 

その1  はじめに

 

私たちはいつも様々なストレスに取り囲まれています。

 

「いつも小言の絶えないパワハラ上司とのつきあい」

 

「仕事ができないくせに生意気な後輩」

 

「今月は達成できそうにないノルマのこと」

 

「さっぱり成績があがらない息子の高校受験のこと」

 

「休日に家の手伝いをしないで遊んでばかりの亭主」

 

などなど

 

仕事のこと、家族のこと、ストレスの種はいくらでもありますね。

 

こうしたストレスは目に見えませんし、なかなか気づかないものです。
しかし知らず知らずのうちにうっすらと積もり積もってくるものです。
知らない間に机の上に埃が積もってくるように・・・

 

ストレスは「疲労」と密接な関係があります。
ストレスをためることは疲労をためることでもあるのです。

 

そして知らず知らずのうちに蓄積された疲労は、様々な心身の不調や人間関係の悪化に結びついてくることがあるのです。

 

週末にしっかり休んでいるのだけれど、疲れが抜けないなどの場合は注意が必要かもしれません。

 

このコラムでは、そんなストレスや気づかれにくい疲労に焦点をあてて進めていきたいと思います。

 

このコラムは下園壮太先生の「こころの疲れをとる技術」(朝日新書 朝日新聞出版)を参考に、学ばせていただきながら書かせていただいています。

 

 

 

 

 

その2 疲労感覚の麻痺

「24時間働けますか?」というCMが昔ありました。

 

ここまで極端ではなくとも、仕事がノリに乗っているときには「休んでいる時間がもったいない」なんて感じることはありませんか?

 

当たり前の話ですが、仕事をすれば疲れます。

 

ではなぜ人は疲れるのでしょう?

 

もしもです。

 

「疲労」を感じることなく仕事を続けたらどうなるか?

 

「疲労は休め」のサインです。

 

「休めのサイン」なしで仕事を続けたら?

 

負荷がかかりっぱなしの体はいつの日か無理に耐えきれずに壊れてしまうのではないでしょうか?

 

 

しかしです。

 

「疲労による休めのサイン」をうけとる体のセンサーが麻痺してしまうことがあるのです。

 

実は心身に大きな負荷がかかっているにもかかわらず、疲労を感じる感覚が鈍くなってしまっている状態と言ってしまってもいいでしょう

 

「エッ、まさか!」と思われた方。
よろしければ続けて以下の文もご覧になってください。

その3 「疲労感覚が麻痺」しやすい状況

なにか面白い本を読んでいるときなど、私たちは夜を徹して読書に没頭することがあります。
いつもなら眠くなるのに

 

また、使命感に燃え、精神が高揚いているとき、私たちの本能は無意識のうちに「疲労の感覚」を麻痺させてしまうことがあります。

 

使命の達成を自分自身の健康に優先させてしまうために・・・

 

たとえば・・・・・

 

・やりがいがあり、精神が高揚しているとき
(希望の部署に配属された 大きなプロジェクトに抜擢されたなど)

 

・誰かを援助しなければならない状態にあるとき
(不登校の息子を支援している  医療従事者として多忙を極めている時)

 

・社会に対して大きな責任をとらなければならないとき
(会社でクレーム処理をしている時など)

 

 

激しい運動、たとえばマラソンをした後は疲れます。

 

節々の筋肉が痛み、喉がひりひりと渇き、体中がだるくなり・・・

 

こうした疲労の感覚が、「もうこれ以上運動してはいけない」「もうこれ以上動いては危ない」ということを私たちに教えてくれるのです。

 

42.195キロで疲労困憊になるからこそ人は走ることをやめられます。

 

もしも疲労を感じることができず、100キロ、200キロ、と走り続けたら、心身に異常な不可がかかることで途中で倒れてしまうでしょう。

 

「疲れた」という感覚は私たちに「心身の負担」を教えてくれる大切なサインでもあるのです。

 

「今はとても休めない。疲れを感じている暇などない」と感じている方。

 

今の仕事がとても大切で価値のあるものであることはわかります。

 

ただ、「ひょっとして疲れがたまっていないかな?」と一日のうち振り返ってみる時間を作られてもいいのではないかと思います。

 

何といっても体は資本。

 

メンテナンスはかかせません。

その4 「ライフイベントのストレス」

「死別の体験」、「労働条件の悪化」、「失業」など辛いできごとのみが、ストレスと疲労の種になるわけではありません。
「世間ではよろこばしいこと」とされているできごとでもストレス要因になることがあります。

 

例をあげましょう。
・結婚

 

・妊娠

 

・新居への引っ越し

 

・昇進、栄転

 

・入学、卒業

 

・子供の独立

 

これらのできごとはよろこばしいことですから、なかなか気づきにくいのですが、案外と心身に負担がかかつていることもあるのです。

 

たとえば昇進を例にあげてみましょう。

 

まず新しい仕事に慣れなければなりませんし場合によっては勉強する時間を作らなければなりません。

 

また、はじめて部下ができる方もいるでしょうし、部下とのコミュニケーションに苦労する事もあるでしょう。

 

同期や先輩を追い抜いて昇進した場合には、そういった仲間や先輩の目が気になることもあるでしょうし、時には意地悪をされることもあるかもしれません。

 

「昇進」という「よろこばしいできごと」のなかにも、案外と「頑張らななければならないこと」と「しんどいこと」があることがわかるでしょう。

 

「就職」「昇進」「入学」「結婚」など、人生の中での環境の変化や日常のできごとをライフイベントと呼びます。そしてライフイベントの中には当然ネガティブで辛いできごとも」あります。
たとえば

 

「配偶者や肉親との死別」

 

「離婚」

 

「ケガや病気」

 

「家族のケガや病気」

 

「失業」

 

「上司とのトラブル」
などです。

 

失業したり、病気やケガをしたりということであれば、「ストレスや疲労がたまっている」ということも自覚しやすいと思います。

 

しかし「昇進」や「新居への引っ越し」など喜ばしいライフイベントの場合には、「ストレス」や「負担感」は自覚されにくいものです。

 

「昇進」する同時に「結婚」し、「新居に引っ越し」をしたが、「上司とトラブルが発生」し「実家のお母さんが病気で入院した」といった具合にライフイベントが続いた場合にはストレスと疲労のダメージが予想以上に大きくなつていることがあります。

 

「なんとなく疲れているな」「ストレスがたまっているな」と感じたときには、最近一年間くらいにおきたライフイベントをふりかえてみてもいいかもしれません。

 

興味を持たれた方は、ライフイベントのストレス表を参照してください。

 

日常的なできごとが、どれだけのエネルギーを使うものか、ひとつの目安をつくるために使用することができます。

その5 「若さ」への過信

その5 「若さ」への過信

 

「徹夜が趣味なんです」という方に会ったことがあります。

 

まだ20代前半の研究職の方でした。

 

興味がつきない研究に熱中していれば疲れを感じることもないでしょうし、20代前半であれば、ハードな研究生活を支える体力や気力も充実していたのでしょう。

 

体力と気力が充実している20代なら無理はききます。

 

また疲労に対する回復力も早いです。

 

ただし、あたりまえの話しですが、体力も回復力も年齢を重ねるにつれて衰えてきます。

 

 

ところが、加齢による体力や回復力の衰えを無意識のうちに無視してしまうことがあるのです。

 

・昇進したときや栄転したとき

 

・おおきなプロジェクトをまかされたとき

 

・看護や介護など、誰かを支援しているとき

 

こんなとき、私たちはどうしても無理をしてしまいがちです。

 

そんなとき心に浮かぶのは「若いころに経験して乗り越えた試練」だったりするのです。

 

「あのころはロクに眠らず頑張れた」とか、「2ヵ月休みをとらずに働けた」といった「昔の自分はもっと頑張れた」という記憶を糧に、無理を重ねてしまうのです。

 

「頑張ること」や「あきらめないこと」。「我慢すること」や「逃げ出さないこと」は確かに貴いものです。
また、加齢を理由に、仕事の量をセーブしたくないという気持ちもわかります。

 

しかしながら、体力や気力が年々衰えていくのも事実です。
若い時代とは違った、「今の自分に適応した頑張りかた」というものがあってもいいと思いますが。

その6 ストレスを主因とする心身の症状

この項ではストレスと疲労が心身や私たちの生活にどのような盈虚を与えるかについて、話を薦めてめていきます。

 

ストレスによつてもたらされる疲労は社会生活をおくるうえで、4つの領域に現れてきます。

 

これは次のとおりです。

 

@身体的な不調

 

A心

 

B行動

 

C職場や家庭での人間関係

 

この項では主に@身体的な不調とA心に現れる不調について触れていきます

 

@疲労による身体的な不調

 

・不眠      ・食欲不振

 

・食欲不振   ・目や肩  腰の痛み

 

・関節痛   ・めまい  ・耳鳴り

 

A疲労による心の不調

 

・不安

 

・イライラ

 

・仕事や責任を避ける

 

・過剰な責任感

 

・人が怖い 人が苦手

 

ご自身と比べてどうでしょう?

 

以前の自分と比べてみて、「なんとなく変わったな、ちょっと違うな。」と感じたらご用心。

 

普段よりも多めに休息をとってみたり、体力を大きく使うこと(たとえばランニング)をちょっと休んでみたりしてみてください。

 

ほとんどのケースの場合、休養を適切に入れることにより復調してきます。

 

しかしながら、あまりにも疲労をためこんでしまうと、うつ病になってしまうことがあります。
2週間以上不眠が続いたり、食欲不振で急に痩せてきたりした場合は、専門家へ相談してください。

その7 ストレスが主因の行動と人間関係の変化

前項ではストレスの心身に与える影響について論じてきました。

 

ストレス状況が長く続き、疲労をため込んでしまい、もはや短期間の休養では疲労を回復することができなくなってしまった場合、不眠や食欲不振などの身体症状とともに、行動や人間関係に変化が現れることがあります。

 

家族や同僚からみると以前とは別人のように見えることがあるのです

 

例を下にあげます

 

疲労による行動の変化

 

・酒やたばこの増加

 

・甘いものを摂りすぎる

 

・衝動買いが多くなる

 

・不倫や風俗へののめりこみ

 

・パチンコなどギャンブルへの依存

 

疲労による人間関係の変化

 

・キレやすく人との衝突が増える

 

・急に人付き合いが悪くなる

 

・あんまり笑わなくなる。

 

・嘘や責任転嫁が増えてくる

 

・被害妄想的愚痴や弱音が多くなる

 

家族や会社の同僚に、「明らかに以前とは行動が違う」とか「別人になったようだ」と感じさせるような変化があった場合、その人は「不眠」とか「食欲不振」などの身体的な不調に苦しんでいる可能性があります。

 

問題行動や対人スキルを改めさせようとするのではなく、まずその人の抱える疲労とストレスを緩和したほうがよいことがよくあるのです。

 

医師やカウンセラーなど、専門家へと繋いでいくことが必要となることがあります。

 

 

こころの相談室  りんどう  担当カウンセラー 馬場健一

 

 

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