死別の辛さ 心身の反応とその回復のプロセス

 

「大切な人と死別する」体験は人生における非常に大きな危機です。

こうした危機に対し、心も体も大きく反応してしまいます。

 

このページでは死別の体験に伴う症状の解説と回復のプロセスについて解説していきます。

 

 

亡くなった直後

 

大切な人が亡くなったことを認めたくない、信じようとしない時期です。

 

亡くなったという実感がなく、脱力してしまってなんとなくぼうっとしてしまったり、夢の中にいるような気がしたり、現実感覚をなくしてしまったりすることがあります。

 

「悲しいはずなのに涙がでてこない」

 

「皆が悲しんでいるのに自分は悲しくない  何も感じない」

 

なんとなく「感情がなくなったのではないか」と感じることがあります。

 

こうした「悲しみを感じない」という経験は実は非常に多くの方が経験しています。

 

 

また非常に冷静に事態に対処できる方もおられます。

 

病院での対応、葬儀の段取り、親戚との打ち合わせなど、忙しそうに動き回り、外には悲しみを表したりしません。

 

悲しみを感じないことで「自分が冷たいのではないか」と思う方もいますが、これは心身の自然な反応です。

 

 

 

 

愛する人を亡くすることは大きな危機です。

 

あなたの体はこの危機を乗り越えるため、感情を麻痺させ、「悲しみを感じない」ようにしているのです。

 

もしも感情が普段どおり働いていたら、あなたは悲しみに打ちのめされてしまうでしょう。

 

あなたの体はあなたを守ろうとして、「悲しみの感情」を麻痺させてるのです。

 

「悲しいはずなのに悲しく感じない」のはこういう理由があるのです。

 

あなたが冷たいからではありません。

 

何も感じないからといってご自身を責める必要はありません。

また逆に、周囲をはばからずに泣き叫んだり、パニックを起こしてしまう方もいます。

 

ご自身では情けないと思われたかもしれませんが、こうしてパニックでもおこさないと、周囲の人に助けを求めることができません。

 

「今、自分には助けが必要だ」ということを無意識が察知して、周囲の人にそれを知らせるために、泣き叫んでいるのです。

 

これも誰にでも起こりうる反応です。

 

 

 

葬儀が終わったころ

 

今まで何も感じなかったり、いろいろな手続きに追われていて、なんとなくこのまま乗り切れていけそうだったのに、突然、大きな悲しみに捉われてしまうことがあります。

 

一番気持ちが落ち込み、悲しみが頂点に達する時期です。「もう自分は生きていけない」「人生に希望がない」という気持ちになることがあります。

 

仕事に没頭して忘れようとする方もおられますが、このような時には無理な活動は控えましょう。

 

故人のことがどうしても思い返されてしまう時です。

 

家族や友人、身近な友人に辛い思いや寂しさを語ってみましょう。

 

苦しい気持ちは言葉にして語ることで緩和していくことができます。

 

非常に苦しいときですがこの苦しい時期は必ず終わります。

 

また、この時期には様々な心身の不調が現れてくることもあります。

・眠れない

 

・食べられない

 

・集中できない

 

・思考がまとまらない

 

・胃腸の調子が悪い

 

・耳鳴りがする

 

 

事故や自死で亡くなられた場合、事故現場の様子が突然思い起こされたりすることがあります

 

これはフラッシュバックといいます。

 

また、事故現場となった場所に近づけなくなったりするともあります。

 

症状が出ない方もおられます。その場合は安心してください。

 

上記の症状は必ず出現するというものではありません。

 

現在症状が出ていないのなら、以後出てくるということではありませんから、安心してください。

 

このような症状は、時間の経過につれておさまってきます。

 

不眠などの症状がつらい時にはお医者さんに行くのもよいでしょう。かかりつけのいつものお医者さんで十分です。

 

ただし、このような症状が一か月続く場合は、必ず医療機関を受診してください。

 

 

葬儀後、ひと月くらいたったころ

 

一番苦しかった「絶望の時期」を超えて、気持ちに折り合いをつけたり、これからの具体的な生活のことを考えたりするようになります。

 

ただ、この時期は「悲しみ」だけではなくいろいろな感情に悩まされる時期でもあります。

 

亡くなったのは自分のせいだ」と自分を責める気持ち

 

「自分を置いていってしまった故人への怒り」

 

「故人を忘れてしまっている自分への怒り」

 

「故人が亡くなってほっとしている自分が許せない」

 

「生きているときにしてあげられなかったことに対しての後悔」など・・・

 

多かれ少なかれ、大多数の方が悲しみとは矛盾する「怒り」や「安堵感」を持つことに罪の意識を感じたり、困惑したりするものです。

 

でも人は複数の矛盾した気持ちを同時に感じるものなのです。

「寂しさ」と同時「怒り」を感じる

 

「悲しみ」と同時に「安堵感」を感じる

 

「忘れたい」しかし「忘れたくない」

 

この後、四十九日、一周忌などの節目の法要がありますが、このときは親戚や友人を故人のことを多いに語ってください。

 

こうした節目の行事を無事に終えることで、月日の移り変わりを感じられるようになります。

 

1年が過ぎたころ

 

たまに寂しさを感じることはあるものの、平穏な気持で過ごせる日が増えてきます。

 

故人のことを忘れたり、記憶から無くしたり、ということではなく、故人の記憶と安心して向き合える日が増えるということです。

 

以上、回復のプロセスについて解説してきました。

 

この回復のプロセスには、個人差が大きいです。

 

 

どうしても気持ちが苦しく、症状が辛いときはカウンセラーに相談してみるのもよいでしょう。

 

また、よろしければ下のページも参考にしてください。

 

死別後の悲しみ 辛い症状 悲嘆ケア

 

こころの相談室  りんどう  担当カウンセラー 馬場健一

 

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大切な方を自死により亡くされた方は自死遺族の方へのカウンセリングをご参照ください。

 

 

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